ミュージカル「エリザベート」:ルキーニ、鳥を見失う
7月9日、「エリザベート」東京公演観劇。
ルキーニがエリザベートを籠の鳥に例える場面で、
おもちゃの鳥を飛ばすんですが、なんと手元に
戻ってこないというハプニングがありました。
「こんなの初めてだ」とアドリブで間を持たせながら、
鳥を懸命に探す山崎育三郎さん。
歌唱もすごいですが、舞台度胸もさすが。
井上芳雄さんの朗々とした歌声とエレガントな動き、
立ち姿も動く姿も見事でした。
少女時代から死ぬまでのシシィを声と仕草で演じ分ける、
花總まりさんの素晴らしさ。
厳しさと美しさが同居する香寿たつきさんの歌声。
妻や子をいとしく思いながらも、皇帝としての職務の追われ、
冷静に、冷酷に生きる、佐藤隆紀さんのフランツ・ヨーゼフ。
少年ルドルフの愛らしさと、トート閣下の冷たさと優しさの
入り混じった不思議なまなざし。
古川雄大さん演じるルドルフの、清冽ながら優しみのある
歌声としなやかな踊り。母エリザベートへの絶望的な告白。
鏡や鋼が絶妙に組み合わさり、さびれたような、でもなぜか
ぎらついているような、心がざわつく舞台美術。
きらびやかな衣装の宮廷人たちのあいだをうごめきまわる
トートダンサーたち。
それらすべてを采配する小池修一郎氏の熱い演出。
死を扱う舞台に満ち溢れるエネルギーに圧倒されました。